交通事故において過失割合が重要となる理由
1 賠償金に直結する
交通事故で被害者に過失割合が生じる場合には、損害額から自分の過失割合分の金額が控除されて賠償金を受け取ることになります。
例えば、賠償金総額が1000万円とした場合、被害者の過失が20%ある場合には、
1000万円×(100%-20%【被害者の過失】)=800万円
しか加害者から賠償金を受け取ることはできません。
2 自己が賠償する金額に直結する
被害者だとしても、少しでも過失がある場合、相手方にケガや物的損害があれば、その損害額について、自分の過失分の金額を賠償する必要があります。
例えば、相手方の車の修理代が100万円として、自分の過失が30%だった場合には、
100万円×30%=30万円
を相手方に賠償する必要があります。
もっとも、相手方に賠償する金額については、自分の自動車保険の対人賠償や対物賠償を使えば、免責金額の有無にもよりますが、全額賠償することは免れます。
自分の保険を使う場合には、保険料が増額するのかも確認しながら、
保険を使うのか使わないのかを検討して使用することになります。
3 適切な過失割合とするためには
ケガをしている場合には、人身事故として届け出ることにより、警察が事故の発生状況を記録に残してくれます。
実況見分調書や、当事者の説明を記録した供述調書などです。
これらの記録があると、当方に有利な事情があるか、相手に不利な事情があるかとして有力な証拠になる可能性があります。
人身事故として届け出していない場合には、「物件事故報告書」という事故状況を簡単に記録した書面(A4サイズ1枚程度)しか作成されないため、過失割合を争いたくても、こちらに有力な証拠が見つからない可能性が高くなってしまいます。
交通事故の示談交渉を弁護士に任せる方が良い理由
1 賠償金の増額交渉
交通事故の示談交渉において、具体的にどのような項目があり、どの程度の金額が妥当なのか等、詳しく把握しているという方はほとんどいらっしゃらないかと思います。
示談交渉を弁護士に任せれば、増額事由がある場合、それについて弁護士が適切に交渉することによって、被害者の方が受け取れる賠償金を増やすことができるケースが多いです。
例えば、慰謝料や休業損害の金額を多くしたり、被害者側の過失割合を少なくしたりすることができることもあります。
以下にて、それぞれご説明させていただきます。
2 慰謝料の金額が上がる可能性がある
任意保険会社は、自賠責保険金で賄える範囲でしか賠償しないようにしたいと考えています。
しかし、自賠責基準やそれに少し上乗せされた任意保険会社基準の金額では、弁護士基準や裁判基準といわれる基準の金額よりは低い場合が多く、妥当な賠償金額とはいえないことが少なくありません。
弁護士に示談交渉を任せた場合には、通常、一番高い基準の弁護士基準・裁判基準をベースにして、慰謝料について交渉してもらうことができます。
被害者本人が交渉しても相手方保険会社は増額しないことが多いですが、弁護士が介入することで交渉に応じるケースも多いです。
3 休業損害の金額が上がる可能性がある
⑴ 給与所得者の日額計算方法
休業損害額の計算方法は、日額×認定休業日数なのですが、この日額の計算方法については、主に2つの考え方があります。
一つは、単価が低くなる、(事故前3か月間の本給+付加給の金額)÷90日です。
弁護士が介入していないと、日額が低くなるこの方法で日額を算出されてしまうことが多いです。
もう一つは、稼働日数で割る方法です。
こちらの計算方法の方が、日額が高くなるので、弁護士に示談交渉を任せると、この計算方法で示談できる可能性があがります。
⑵ 家事従事者について
主婦(主夫)の家事労働に対する休業損害については、弁護士が介入していないと、そもそも計上されていなかったり、計上されていても金額がかなり低かったりすることが少なくありません。
弁護士に示談交渉を任せることで、適切な基準の金額に引き上げられる可能性があります。
4 過失割合が有利になる可能性がある
過失割合については、多くの場合、基本過失割合でまとめられてしまいます。
弁護士が介入することで、刑事記録などを取り付けて、被害者側に有利な事情、加害者側に不利な事情がないかを検討して交渉することで、被害者側の過失を有利にまとめられる場合があります。